先月10月13日から16日まで、学年ごとに実施されたスポーツフェスティバル。例年とは違う形になりましたが、みなさんが楽しんでくれて本当によかったなと思っています。いつもとは違うときだからこそ、心を一つにして、楽しもうとするみなさんの気持ちが伝わってきて、とてもうれしかったです。今年は、様々な行事の中止が相次ぐ中、みなさんにとっては、かけがえのない中学校時代の思い出となる運動会に替わるものを何とか実施したいと1学期から準備してきましたが、実施できて本当によかったと思っています。
さて、今年は特別な年となりました。今から1年前、日本でワールドカップラグビー大会が行われ、世界中からたくさんの外国人が日本を訪れ、日本全体が盛り上がっていました。しかし、今年になり、状況が一変。東京オリンピック・パラリンピックが延期になるほどの世界的なパンデミックになるとは、誰も予想することはできませんでした。
そして、今年に入り、わずか数ヶ月で世界が大きく変わりました。システムが整っている学校では、オンライン授業が実施され、自宅で学校の勉強を行っていました。印西中学校も含む全国の公立学校においても、その準備が急速に進み、学校に行かなくても、自宅で勉強できる時代がまもなくやってきます。
オンラインで授業が成立するのであれば、「学校」という場に登校する必要があるのだろうか。普段、あまり考えたことはないと思いますが、何のための学校なのかという素朴な疑問が湧いてきます。学校は、もちろん、勉強するために行くところですが、じつは勉強すること以外にも大きな意味があります。
学校は小さな社会、社会の縮図です。そこには、生まれ育った環境や性格、考え方の違う人たちがたくさん集まっています。自分と気の合う人もいれば、ちょっと苦手だなと思う人がいるかもしれません。毎日、いろいろな出来事、行事がある中で、人や集団と関わりながら何とか乗り越えていくというのは、社会という場でよりよく生きていくための練習、予行練習なのです。 毎日、学校に行って、笑ったり、歌ったり、怒ったり、悩んだり、悲しんだり、悔しい思いをしたりして、またときには、つらいテスト勉強、受験勉強も乗り越えながら、生活していく。ただ、毎日、学校にいるだけで、大切な何かを自然と学んでいます。
何となく学校に行っているだけで、将来、社会で生きていくために必要なコツがつかめるようになります。それが学校に行くことのメリット、一番の意味です。
そして、今、学校全体で取り組んでいる合唱祭。歌声を通して心を一つにしようと多くのみなさんが、目を輝かせ熱中して取り組んでいます。
この熱中できるもの、没頭できるものを見つけておくということはとても大切なことです。例えば、部活動の練習に没頭し、試合に勝つために、どうすればいいのか、研究を重ねることはもちろん、趣味や特技、何でもいい。3年生は今の時期は、受験勉強で忙しいとは思いますので、読書や体を動かすこと等、気分転換できる自分の好きなことでいいと思います。没頭できるもの、自分の好きなものを大切にしてほしいと思います。
好きなことに熱くなれる経験をしておくことは、これからの人生を歩んでいく上でとても大切です。何かに没頭すると、もっと知りたい、できるようになりたい、上達するためどうすればよいのか、技術面だけでなく、精神面も鍛えなければだめだとか、ああでもない、こうでもない、試行錯誤して、自分自身を高める考え方を身につけることができるようになります。そして、好きなことに没頭できると、「好きになりかた思考回路」が発達し、好きではないこと、やらなければならないことにも、その思考回路が役立ち、意義を見つけて、取り組めるようになってくるからです。
早いもので、11月に入りました。合唱祭が終われば、3年生は進路モード一色となり、特に、時間の流れも早く感じられるようになると思います。
流れていく時間の中で、大切なのは、「基本」です。最後は「基本」。「基本」ができている人にはかないません。学習の基本、生活の基本、感染症対策・健康安全の基本を大切にして、感謝の気持ちを持ち、時間に流されず、自分軸という座標軸をしっかりもって、充実した学校生活を送ってほしいと願っています。