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2017/03/05

「くどさ」はいらない「向上的変容」の認識場面

Tweet ThisSend to Facebook | by:kishi
 4年1組の版画の授業の最中。授業の名人野口芳宏先生のよくおっしゃる「向上的変容」が明らかにみられる「ちょうちょ」の版画を作った子がいました。そこで,その作品を取り上げて全体指導をしました。色付けの仕方・色作りの仕方についての指導です。
 教師の指導の「before」と「after」の結果を比較し,この子の「学び」を全体に対して明らかにしていきます。そして,その「学び」を全体の「学び」に高めるということを意図したものです。

 この比較指導の際には,「違いはどこですか?」と子どもたちに問い,よい点を抽出していく指導が考えられます。また,「後の作品で工夫したことは何だと思いますか?」と子どもたちに問い,予想させる。その後,本人に確かめ,確認し合うという指導も考えられます。当然,このような指導は有効です。「あり」の指導です。
 しかし,ちょっとくどいのです。

 だから,自分は全員を注目させ,2つの表裏を提示しました。そして,言いました。
「☆☆さんが『学び』とったこと,見えましたか?学習し,工夫していることがわかりましたか?」
 子どもたちはすぐ反応しました。
「あー!」
「わかります!」
「はい!」

「そうですか,参考にしてください。」
と言っただけで,終わりにしました。「どこが?」とか「何が?」とは聞かなかったのです。

 この2つの作品で 「向上的変容」が一目瞭然でわかるからです。

 図画工作科に限らず,くどくどと扱うことが子どもたちの認識を高める上で重要なことがあります。しかし,ある子の「向上的変容」を全員に対して明確にし,全員のモチベーションを上げようとするならば,さらりと扱うべき場面もあるのです。「わかった!→すぐやろう!」につなげるためにどう授業を組み立てることが有効か。授業の肝になります。ワンパターンはだめなのです。

 この場合,スパッと見せて,さっと認識させるのです。「くどさ」はいらない場面です。


【after】





【before】




04:41