〈校長先生のお話〉
「11月初めに,学校全体で
『いじめノックアウト!我がクラスの行動宣言』という活動を行います。これは,やめる,とめる,はなす,みとめるという勇気をもつことで,いじめをなくしていこうという活動です。」
「ここに『いじめられている君へ,いじめている君へ』という本があります。その中から2人の言葉を紹介します。
「皆さん,この人を知っていますか?」
(子供たちから口々に「知ってる!」「さかなクンだ!」という声があがりました。)
「1人目は,東京海洋大学客員助教授のさかなクンのお話です。」
『中1のとき、吹奏楽部で一緒だった友人に、だれも口をきかなくなったときがありました。いばっていた先輩(せんぱい)が3年になったとたん、無視されたこともありました。突然のことで、わけはわかりませんでした。
でも、さかなの世界と似ていました。たとえばメジナは海の中で仲良く群れて泳いでいます。せまい水槽(すいそう)に一緒に入れたら、1匹を仲間はずれにして攻撃(こうげき)し始めたのです。けがしてかわいそうで、そのさかなを別の水槽に入れました。すると残ったメジナは別の1匹をいじめ始めました。助け出しても、また次のいじめられっ子が出てきます。いじめっ子を水槽から出しても新たないじめっ子があらわれます。
広い海の中ならこんなことはないのに、小さな世界に閉じこめると、なぜかいじめが始まるのです。同じ場所にすみ、同じエサを食べる、同じ種類同士です。
中学時代のいじめも、小さな部活動でおきました。ぼくは、いじめる子たちに「なんで?」ときけませんでした。でも仲間はずれにされた子と、よくさかなつりに行きました。学校から離れて、海岸で一緒に糸をたれているだけで、その子はほっとした表情になっていました。話をきいてあげたり、励ましたりできなかったけれど、だれかが隣にいるだけで安心できたのかもしれません。
ぼくは変わりものですが、大自然のなか、さかなに夢中になっていたらいやなことも忘れます。大切な友だちができる時期、小さなカゴの中でだれかをいじめたり、悩んでいたりしても楽しい思い出は残りません。外には楽しいことがたくさんあるのにもったいないですよ。広い空の下、広い海へ出てみましょう。』
つづいて…
「皆さん,この人は誰か知っていますか。これはメジャーリーグで活躍した松井秀喜さんです。」
『君は、無理して立ち向かわなくていいんだ。
学校やクラスにいても楽しくない。仲間にうまく入れない。それなら、それで、別にいいんじゃないかな。だれかがつくった世界に君が入らなければいけない、ということはないんだよ。
それより、君には、居心地のいい場所で、自分の好きなことに夢中になってほしい。何かに没頭(ぼっとう)することによって、いやなことが気にならなくなることって、あると思うんだ。逃げるんじゃない。自分から好きな世界を選ぶんだ。その中で同じ夢を持った友だちに出会うこともあるだろう。新しい仲間ができるかもしれない。
ぼくは小さいころ、体が大きいだけでなく、太っていた。それを悪く言う友だちがいたかもしれない。ぼくはまったく気にならないタイプだからコンプレックスを感じることもなく、ただ大好きな野球に没頭していた。そのうちに、自然と体も絞(しぼ)れてきた。もちろんいい仲間とも、たくさんめぐり合うことができた。
だから君にも大好きなことを見つけ、自分の夢を持ってほしいんだ。スポーツが好きな人もいれば、音楽が好きな人もいるだろう。何かを書いたり、つくったり。見ることでもいい。どんなことでもいいんだ。大好きなものに出会えたら、それを大切にして欲しい。
君をいじめている人がいるとしたら、その人もきっとつらい気持ちでいると思う。だって、人をいじめることが夢なんて人はいないはずでしょう。いじめは夢の遠回りなんだ。その人にも、自分の夢を早く見つけて欲しいと言いたい。後悔(こうかい)するような時間は、短い方がいいからね。
だから、いま君が立ち向かうことはないんだ。 』
校長先生がゆっくりと心を込めてお話をしている間,子供たちはみんな顔をあげてとても真剣に聞いていました。
小倉台小学校ではいじめを許しません。
おうちの人でも,学校の先生でも,スクールカウンセラーの先生でも誰でもいいです。何か困ったことや嫌なことがあったら遠慮なく相談してくださいね。
(学校だよりとHPに,スクールカウンセラーの出勤日や,いじめ等に関する相談窓口を紹介していますので,ご覧ください。)