1.研究主題
「 一人一人が生き生きと学習できる国語科学習の指導 」
― 読みの力を育成するために ―
2.主題設定の理由
(1)新しい学習指導要領から
①国語科の目標
「国語を適切に表現し正確に理解する能力を育成し,伝え合う力を高めるとともに,思考力や想 像力及び言語感覚を養い,国語に対する関心を深め国語を尊重する態度を育てる。」
②新しい学習指導要領の国語科の考え方
文言については,現行の指導要領と同じであるが,この度の改訂では,特に次のことに重点 を置いている。
○言語活動の充実…言語の教育としての立場を一層重視する態度を育てること
○実生活で生きてはたらくこと
○各教科などの学習の基本となる国語の能力を身につけること
○我が国の言語文化を享受して,継承・発展させる態度を育てること
○基礎的・基本的な知識・技能を活用して,課題を探求することのできる国語の能力を身につけること
○生涯にわたって国語を愛好して,豊かな生活を実現すること
(2)学習指導要領をうけて
学習指導要領学校教育のあり方として,「生きる力」の育成を基本とし,自ら学び,自ら考える教育へと 換を目指し,その実現のために「一人一人の子どもを大切にした学校教育を展開することが重要である」と れた。その趣旨に伴い,国語科研究の基本方針として,「基礎的な能力を高めるとともに,自ら学習する意 を培い,生涯にわたって積極的に国語や読書活動に親しむ資質や能力を育成すること」を重視する。
また,小学校低学年から読書に親しみ,潤いのある毎日を過ごせることをねらう。
<話す・聞く領域><書くこと,及び読む領域>について
○日常生活に必要とされる対話,記録,報告,要約,説明,感想などの言語活動を行う能力を確実に身につけることができるように継続的に指導する。
○課題に応じて必要な文章や資料などを取り上げ,基礎的基本的な知識や技能を活用することによって,思いを深めたりまとめたりしながら解決していく能力を育成する。
<言語文化と国語の特質に関して事柄>
○物語や詩歌などを読んだり,書き換えたり,演じたりすることを通して,言語文化に親しむ態度を育成する。
○物事の認識や思考及び伝え合いなどにおいて果たす言語の役割や,相手に合わせた言葉の使い方など,言語の多様な働きについての理解を重視する。
<読書の指導について>
○目標を持って読書をすることや,日常的に読書に親しむようにすること,図書館の利用の方法などを指導内容に位置づける。
(3)学校教育目標から
本 校 教 育 目 標
「 元気で思いやりがあり,よく考える子どもの育成 」
<求める子供の姿>
元気な子
自ら運動し,体を鍛える丈夫で健康な子どもの育成
思いやりのある子
公民として望ましい生活行動と他人を思いやる心を身につけた子どもの育成
よく考える子
自ら学べる力,生きてはたらく力を身につけた子どもの育成
学校教育目標の求める子供の姿の中の「よく考える子」について
学習や普段の生活の中から,様々なことに気づき考え,工夫して解決できる能力を育成するとともに,さらにそれらを生活に活用できる力を高めていきたい。 また,新しい学習指導要領においても,現在と同様 「生きる力をはぐくむこと」の理念が継続されている。 「生きる力」を,「学校や授業が楽しいと考えること」,「子供たちが生き生きと活動すること」その中で,考える場面を設定することによりによく考える力を高めていくことができると考える。そのため,国語科の授業においても,思考力・判断力を培うことができるように積極的に関わっていきたい。
児童の実態について
〔本校の児童のこれまでの実態からの課題〕
国語科に関する関心・意欲について,昨年度の学力検査において,平均すると70%以上の児童が「好き と回答をしている。それぞれの細かい内容については,さらに調査する必要があるが,現在の好きな気持ち 大切にするとともに,国語をさらに愛好する気持ちを育てながら基礎学力を定着させて,生涯学習に結びつ られるようにしていきたい。
「読む力」 o物語・説明文など,文章の内容を正確に読み取る力が足りない。
o音読の力が足りない。
o読書量が少ない。… 1日に読む量は,平均10分~30分未満程度
図書室の利用状況は,時々利用する子が多い。
お話や物語を読むことがすき。
図鑑や説明文を読むことが好きな子もいる。
※本が好き・読書が好きな子にさせたい。
「話す・聞く力」 o自分の考えをまとめて,全体の前で話す力が足りない。
o発表する力の不足。
o正確に聴き取る力が足りない子が多い。
o聞くときには,話し手を見て聞ける子が多い。
o聞くときに,話し手を見て考えながら
※表現力を高めたい。
〔大森小学校の国語科 指導上の課題〕
○基礎学力及び国語科における読解力や書く力の向上
○児童が自主的に発言できる学習環境作り
○話し合い学習の活性化
○自分の考えをまとめ発表する力の向上
○読書量を増やすこと
○学力向上に向けての,国語科における基礎・基本の定着のための方策
○学力の定着をはかるための手だての工夫
3.指導の手だて・方法
(1) 読解力を高めるために
①物語文・説明文など「読み取る力・音読・漢字を読む力」が必要。
②正しく読み取るための話し合い活動を通して,読解力を高め,たしかな国語力を身につけさせる。
③読書量を増やす。
(2) 文章の意味などを正確に読み取る力をつける。
o高まった読解力を基に,発表力を高めたい。
(3) 音読をすることによって,内容の理解を深めることができ,さらに音読の表現を高める。
(4) 読みを深めることによって,話し合いの活動を活発にさせたい。また,書く力も高める。
このことが,さらに深い読みへとつなげれるようにさせたい。(スパイラル状に向上)
(5) 発表に向けての,様々な場の設定を行う。(話し合い学習の活性化)
①個々での考えまとめる。
②グループ毎の話し合いにより,思ったことを話しやすい雰囲気をつくる。
③グループ内や全体の場で,お互いの考えを深め広げる。
(6) 「読む」「書く」「話す・聞く」など,それぞれの基礎内容について大森小学校として,どの ようにとらえるかをはっきりさせる。
(7) 教師側の願いと児童の実態とを照らし合わせて考える。
①児童にとって何が必要かをはっきりさせ,「○○を頑張るとできるようになる。」などの うに,具体的な内容を考える。
②例えば,読んだことを文章で表現したり,音読で発表したり,様々な表現方法で学習す 場を設定するなど,ねらいに合わせた活動を工夫する。
4.具体的な研究内容
(1) 児童実態調査,実態に対する考察
実態調査の項目 <関心・意欲について> <話す・聞く領域について>
<読む領域について> <漢字の読み書き>
<書くことについて>
o情意面 o基礎学力調査 o学力検査の結果と考察
(2) 文献による理論研究
(3) 授業研究
5.研究主題の中の「一人一人が生き生きと学習できる」ことについて
「生き生きと学習」している状態について,本校では,
①学習していることが「わかる喜び」,
②出来なかったことやわからなかったことが「できる喜び」,
③様々な活動を通して「授業が楽しい」と思う状態と,とらえる。
具体的には,次のようなことをめざして授業を充実させていきたい。
「わかる」授業 ~わかる・できる・楽しい授業をめざして~
○書いてある文章の内容がわかる。
○発問のの意味がわかり,答えがわかる。
○友達と自分の意見の似ているところや違うところがわかる。
○授業のめあてがわかり,考え方がわかる。
○学習(授業・家庭学習などを含めて)の方法がわかる。
○作文の書き方がわかる。
「できる」授業
○友達の意見に対して,自分の考えを発表することができる。
○友達に自分の意見を伝え,話し合うことがができる。
○文章を書くことができる。
○物語文や説明文などの内容を理解することができる。
○作者の気持ちを考えることができる。
○登場人物の気持ちを考えることができる。
「楽しい」授業
○友達との関わりの中での楽しさ
o話し合うことで自分の意見が受け入れられる楽しさ(お互いに認め合う楽しさ)
o同じ意見を見つける楽しさ
○考える楽しさ
o課題を見つけ,その課題に対してどのように考えるとよいかを自分で考えたり
話し合ったりして答えを導き出す楽しさ。
o友達とその過程を共有する楽しさ
○できる喜び,考えが深まった喜び
o答えが合っていたときの楽しさ
oできなかったことが練習や努力によってできるようになった楽しさ
oきちんと発表できたときや,新しい発見をする楽しさ
「基礎」のとらえ方について
「基礎というのは,一度で身につかないこと。繰り返し行うことによって,ようやく習得される。 習得しても,くずれやすい性質のものである。」(教育書より)
「発達・進歩・展開・立論などにとって,必要で重要なおおもと。物事の基盤。」(辞書より)