GRITとは何か
校長 奥山 祥明
昨年、アンジェラ・ダックワース氏の著作『GRIT(やり抜く力)』という書籍が注目されました。この書籍の内容を要約しますと、ダックワース氏が強調しているのは次の二つのことになります。
一つ目は、「一流の人は当たり前のことをばかりしている。」です。人間のとてつもない偉業も実際は小さなことを積み重ねた結果であり、その一つひとつを分析してみると「当たり前のこと」ばかりという事実をダックワース氏は指摘しています。
たしかに私たちがスポーツの試合を見て、スーパープレーに感動するのは、そのスーパープレーをした人の集大成の部分しか見ていません。本番まで、見えないところでどれだけの苦しい基礎練習をしてきたかは見ていません。数時間の本番に向けて、おそらく千時間単位の積み重ねがあったことでしょう。
二つ目は、たいていの人は一流の人を見ると、「あの人は才能があるから」ですましてしまう傾向があるそうです。私たちは優秀なアスリートを見ると、すぐに才能があるからと決めつけてしまう習性があるそうです。あの人は才能があるからああいった素晴らしいプレーができるのだと。「天賦の才能を持つ人」と神格化してしまった方が楽だから、才能崇拝論者がたくさんいるそうです。
ダックワース氏のこの指摘は一理あります。「継続は力なり」といった言葉は有名ですが、ダックワース理論を加味すると「継続こそ力なり」になります。天才は素質の良い人ではなく、「自分の全存在をかけて、弛まぬ努力によって卓越性をきわめる人」となります。
私も、もう一度初心に帰って、このダックワース理論に基づく「継続こそ力なり」の精神で、当たり前のことを当たり前に日々、積み重ねていこうと思います。