昨年度の学校だよりに「一生の宝物」という題の巻頭言を載せました。
「雨の日の昇降口で子供たちに朝の挨拶をしながら、もうひとつこのような声もかけています。
『傘の水気をきって、きれいにたたんでから(まとめてから)昇降口に入りましょう』
もちろん、言われる前にやっている子もいます。そんなこと初めて聞いたよ、という顔をする子もいます。春から何度も声をかけているので、冬になる頃にはほとんどの子供たちが言われなくてもできるようになってきます。時間があるときは、水気をきるときの様子も見守り指導しています。傘をぶるんぶるん振り回して水をきる子には、傘の先を下に向けて軽くそっと振るんですよ、お友達に水がかからないようにするんですよとお手本を見せています。
靴箱に靴を置くときに、靴のかかとを揃えて置きましょうねと声をかけることもあります。外から中に入るときに一呼吸置いて自分の靴を揃えることで、心を整えることができます。この一手間を無駄とか面倒くさいという一言で片付けるのはもったいない気がします。靴を揃えることができる子は、周りにも注意を払うようになり、気配りができるようになります。また、丁寧に生活しようという気持ちが芽生えます。小さな礼儀正しさを身に付けることは、きちんとした生活習慣の第一歩となり得るのです。
また、単純に、下足箱の靴が並んでいるととても美しく、気持ちがよいですね。学校が落ち着いているという象徴でもあります。環境は人の成長や価値観に大きく影響を与えます。美しく整っていることをよしとする価値観を育てたいものです。
遅刻をしない、お箸を美しく持つ、靴のかかとを踏まない、物を置くときに投げて置かない、洗面所を使用した後はきれいにしておくなど、身に付けておきたいよい習慣や美しい所作は他にもあります。
私たち大人が子供たちに贈れる何よりも素晴らしいものは、「お金」や「値段が高い品物」ではありません。それよりも、小さい頃に「よい習慣」「規則正しい生活」「美しい言葉遣いや所作」「礼儀正しさ」を教えて、しっかりと身に付けさせておくことのほうがずっと価値があります。一度身に付けたよい習慣や、丁寧な言葉遣い、礼儀正しさや謙虚さは、人から愛され信頼されます。これらはお金では買えない一生ものの宝となり、子供たちのこれからの人生を支えてくれたり、より一層輝かせてくれたりします。(後略)」
今朝の3年生の靴箱を見ると、とてもきれいに靴が置いてありました。本当に気持ちいいですね。ぜひ毎日続けていきましょうね。