校長 三浦 明久
11月6日(月)の5・6校時の時間帯に千葉県在住の児童文学作家今西乃子さんをお招きし、「命の授業」というテーマで、講演していただきました。全校生徒、教職員だけでなく、本校保護者、小学校の保護者の方、市外PTA役員の方も参加した有意義な時間となりました。
近年の核家族化に象徴されるような生活様式の影響から在宅死(自宅死)よりも病院死が多いという現実があります。確かに今の時代は、「生命に対する尊厳を感じる機会や死に関する実体験」が希薄化しています。生きているという実感自体も不足しています。それは、生徒達にとって、動物との触れ合いの中で命を考える機会が少なくなっていたり、テレビゲーム等の世界での体験でしか生き死について考えない場合が多いのかもしれません。だから、少年犯罪が増えるのだと論評する人たちも少なくありません。例えば、人間の命と動物の命は等価ではないという人がいます。真偽はさておきの部分ではありますが、それは、動物が「生きている意味」を自覚していないと理由づけしています。 人間は、人生は一度なのだからたとえ苦しくても自分で自分を鍛え、少しでも良い生き方をしたい。少しでも意味のある生き方をしたいと思っています。一回限りの命をいかに有益なものにするかという活動が命の尊厳へのアプローチでもあります。自分そして他人の生命尊重に発展させるためのベースとして、自己の生命の尊厳、尊さを深く考えることが重要になってきますが、そのための具体的な手立てとして自己肯定感、自尊感情、自己有用感をしっかりと本校生徒に持たせたいと願い、今回の全校道徳を企画しました。
自分自身が生きていることのありがたさに深く思いを寄せることは、必ずや自己以外の生命をも同様に大切にできる心を育てることにつながります。今回の今西乃子さんの「他人を救うことは自分を救うこと」という言葉にも深く結びついていくのだと思います。