2021/03/12 | 卒業式式辞(概要) | | by:西の原中 |
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ご卒業おめでとうございます。
今、手にしている一枚の卒業証書には、9年間の義務教育のすべてが込められています。
紙の卒業証書の重さはとても軽いものですが、その卒業証書はとても重いものでもあります。みなさんの力はもちろんですが、生まれて今日まで育ててくれた家族、地域の方、そして多くの友達、一緒に汗を流したり泣いてくれた先生方など、多くの人たちの思いが入っている卒業証書です。
本来ならば、この会場には1、2年生や来賓の方がいて皆さんの門出をお祝いしてくれるはずですが、新型コロナウイルスの影響で、このような形での卒業式となってしまいました。
1年前、日本中の学校が突然の休校、その後再開しても、授業や行事、部活動など様々な活動に制限がかけられました。修学旅行や部活動の大会やコンクールなどが、相次いで中止となってしまいました。卒業生の皆さんにとってとても辛い出来事だったと思います。しかし、このような中でも、くさること無く学校生活を全力で過ごした皆さんは、とても素晴らしいと思います。
皆さんは「帆船」という船を知っていますか。帆船は帆をいっぱいに広げて、風を受けながら大海原を進んでいきます。ちょうど良い風が吹いていると、船は順調に進んでいきます。人生はこのように順風満帆に、ずっと進んでいくことはありません。
時には大きな嵐に遭遇したりすることもあります。先を急ぐあまり、強い風の中で帆を下ろすタイミングを誤り船を壊すこともあります。
よい風が吹いているときは、帆をいっぱいに広げて、どこまでも進んでいってよいと思います。しかし、船を傷みつけるような嵐の時は、我を張らず、帆を下ろして嵐が過ぎ去るまで、じっと待ち続けることが大切です。大きな嵐ほど待つ時間は長くなりますが、必ず嵐はおさまります。
現在、私たち人類が直面している感染症、無理に進んでいくよりも、しばらく休むことが大切だと、うったえられているように感じます。
しかし、人類は知恵と協力でこの困難に打ち勝とうとしています。今の状況をマイナスに考えるのではなく、今はじっと我慢の時です。そして、よい風や吹き始めたら、帆をいっぱいに広げて、大海原に進んでいけばよいのです。
これからの人生では良いことばかりではなく、辛いこともあると思います。その辛いときは、しばらく休むことが必要ではないでしょうか。休むことは無駄なことではなく、次に向けての準備でもあります。
卒業生の皆さんが、大海原で大きな帆を広げて、順風満帆に進んでいくことを願っています。