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多聞院
■2 多聞院の木造毘沙門天及び両脇侍立像
松崎にある多聞院は、鎌倉時代(1288年~92年)のころに建てられたとされています。
この多聞院は、かつて前戸の「毘沙門堂」と呼ばれる場所にあったと言われています。この毘沙門堂から多聞院となった時期ははっきりしませんが、建てられてから何度も火災や水害などで被害を受けて、現在建てられている中郷に移ってきたと考えられています。
現在、毘沙門堂は多聞院境内の奥にあります。堂内には木造毘沙門天及び両脇侍立像が安置されています。これらの像は毘沙門天1躰と脇侍の吉祥天と善膩師童子の計3躰からなっています。
そのひとつ「木造毘沙門天」は真中に立っています。像の高さは139cmです。材料はカヤという木が使われています。
毘沙門天とは、仏教の四天王のうちの北方を守る神(多聞天)のことです。
この毘沙門天の体は厚く木取りされて、頬を強調した顔、太い首、いかり肩などに鎌倉時代の彫刻の特徴を見ることが出来ます。
昭和29年に千葉県の有形文化財に指定されました。毎年8月2日この日だけ開帳され、私達も見ることが出来ます。
両脇の像は、むかって左側の吉祥天(高さ101cm)と右側の善膩師童子(高さ96cm)で両脇侍立像と呼ばれています。
吉祥天は毘沙門天のお妃、善膩師童子は毘沙門天の王子をさします。
【吉祥天】
【善膩師童子】
これら毘沙門堂に安置されている3像とも賢光という人の作品だと思われます。解体修理をした際に、毘沙門天の体の中から製作の趣旨と鎌倉時代(1289年)の紀年銘(紀元から数えた年数)が見つかりました。
それによると、鎌倉時代に平和への願いから造られたことがわかります。
*銘 漢文の文体のひとつ。器物、金石などに刻み、またはしるして、物事の来歴を述べ功績をたたえる文のこと。
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