令和2年度 印西市立西の原小学校国語科校内研究
1 研究主題
主体的に自分の考えを深め,表現する児童の育成
2 主題設定の理由
(1)今日的課題から
急速にグローバル化,情報化が進んでいる現在では,刻々と変化する事象に適宜対応していかなければならない。既知を生かして未知のことに対応し,自らの力で,自らの未来をたくましく切り拓いていくことが求められている。そのためには,情報を取捨選択して有効に活用する力やその情報から自分の考えをもち,他者に様々な形で表現・伝達する力,そして,他者と共によりよい納得解を見出していく力等が必要である。これらは主体的に自分の考えを深め,表現する力の育成していくことであり,国語科を中核として育成していくべき力である。
(2)学校教育目標から
学校教育目標「強い体 豊かな心 生きる知恵を学びとる,活気に満ちた子どもの育成」の実現に向け,「明るく思いやりがあり,自他の命を大切にする子」「自ら学び,考え,表現する子」「心身ともに健康で,何事にも挑戦する子」をめざす児童像として掲げている。これからの予測困難な時代を生き抜いていくためには,心身ともに健康な「強い体」,相手のことを思いやりながら心を通わす「豊かな心」,未知の問題にも学んだことを生かし対処していく「生きる知恵」が必要である。これらは文部科学省が提唱した「生きる力」に重なるものである。人間の営みは言葉を介して生み出され,受け継がれてきたことから,本校のめざす児童像の「自ら学び,考え,表現する子」に重点を置き,相手や目的に応じて主体的に自分の考えを深め,表現する力を育成することは,これからを生き抜く術となると考える。
(3)児童の実態から
平成30年度の千葉県標準学力調査の結果から,国語科の「読むこと」「書くこと」において県平均を下回る学年が多いことがわかった。読書の習慣を身に付け,長文を読むことに慣れること,慣用句や複合語,国語辞典の引き方等,実際に活用する中で慣れることが改善点として挙げられる。
平成30年度の全国学力・学習状況調査の結果からは,児童の学習内容の定着度は二極化していることがわかった。上位・下位それぞれに合った手立てや目標設定が必要である。また,問題の後半になるにつれて無回答が増えており,日常的に「読むこと」と「書くこと」の量を増やし,学習の基礎体力作りをする必要がある。また,表現様式の違いに着目し,条件に合った文章を書く力も不十分であることがわかった。平成31年度の結果からは,正答問題数については全国平均と比べて大きな差はないものの,「書くこと」の領域において他の領域と比べて差が見られた。中でも無回答率が高い。
平成30年度から国語科の研究に取り組み,付けたい資質・能力を明確にし,適切な言語活動を位置付けて言語活動の充実を図ってきた。ねらいに応じた見本を提示したり,他教科や短時間学習との関連を図ったりし,児童の表現する力を高められるよう授業改善に取り組んできた。見本の作成により教師の言語活動に対する意識が向上するとともに,児童も学習の見通しをもち,意欲的に表現する姿が見られるようになってきた。今年度はこれまでの研究をもとに,学習への意欲を生み出す魅力的なゴールを設定して,児童の主体的な学びを促す単元を構想し実践する。また,引き続き表現様式を意識した見本の作成,個に応じた手立ての工夫等にも取り組む。そして,これからの社会を生き抜くために重要となる,主体的に,情報を取捨選択しそれらを関係付けて思考を深め,自分の考えを表現する力の育成をめざす。
3 研究の目標
相手や目的に応じた表現様式を意識させ,情報を集めて選び関係付け,自分の考えをまとめるなど学習プロセスに応じた手立てを位置付けて授業改善を図るとともに,短時間学習等において書く活動を充実させることが,主体的に自分の考えを深め,表現する力の育成に有効であることを明らかにする。
4 研究の視点と具体的な手立て
(1)相手や目的に応じた表現様式を意識させ,効果的に書くための手立てを言語活動に位置付けることを通して,深い学びを促し,自分の考えを表現する力を育成する。
①相手や目的に応じた表現様式の意識化
○相手意識,目的意識の明確化
○表現様式の特性についての共通理解
○表現様式の特性を捉え,実態に応じた見本づくり
②効果的に書くための手立て
○学習意欲を高める導入の工夫
○見通しをもてるようにする学習計画表の作成
○表現様式に応じた語彙・例文シートの作成
○振り返りによる学習内容や身に付いた力の意識化
○個に応じた支援
③深い学びを促す手立て
○見本の比較・分析によるめざす姿の明確化
・複数の見本,不十分な見本の提示
○相手や表現様式を変えることによる書きぶりや内容・項目の違いの意識化
・相手意識の明確化
・記録→報告文,感想文→紹介文といった表現様式の変更による書きぶりの違いの意識化
○条件制御による書く内容の吟味
○対話による交流
・交流する視点の明確化
・ペアやグループ,全体など場面に応じた形態の選択
・同学年や異学年など,意図的・計画的な交流活動
(2)学校図書館や資料等を活用して情報を集め,相手や目的に応じ,情報を選び,関係付けることを通して,自分の考えを形成する力を育成する。
①学校図書館等の活用
○先行読書・並行読書を取り入れた単元の構成
○単元に応じた選書リストの作成
○学校図書館を活用した自由読書や調べる学習
○複数の情報の収集,比較・分類,選択,関係付けによる自分の考えの形成
○司書教諭・学校司書との連携
○印西市の図書館システムの活用
②資料の活用
○図鑑・辞典・事典等の基本的な利用法の理解を促す授業実践
○他教科の学習資料やパンフレット等の図表・グラフの意図的な活用
○インターネットの利用
③情報の選択・整理
○メモの仕方の工夫
○思考ツール等を活用した考えの整理
④読書活動の充実
○紹介活動や授業と連動したテーマを設けるといった朝読書実施方法の工夫,
○読書預金通帳の記録・活用
○学級内,同学年・異学年での本の紹介活動
○図書委員会の児童や教員,保護者による読み聞かせ
(3)授業と連動した表現する力を高める短時間学習や他教科・日常において書く習慣を身に付けさせるような活動を意図的・計画的に行うことを通して,自分の考えを表現するための基盤づくりをする。
①短時間学習における授業と連動した書く活動の組織化
○全国学力・学習状況調査を分析・活用した問題づくり
○書くことの知識・技能の定着を図る短作文学習
○書くことに対する基礎体力つくりとしての教材文の視写
②ノート指導の充実
○ノートの書き方の見本の提示
○ベストノートの紹介・掲示によるノートの書き方のポイントの理解促進
③日常の書く活動の充実
○家庭学習や短時間学習での継続的な視写
○短文作りによる漢字練習
○ふわふわレターのやりとり
○もしも・・やなりきり・・など,楽しく取り組める書く活動の工夫
○聴写
④言葉に対する関心を高める学習
○言葉遊びや百人一首
○辞書の早引き大会
○類語辞典の活用による言葉の書き換え
○音読,暗唱(今月の詩)
○心に残った言葉集め
○全校で取り組む俳句作り
○印西市漢字マスター検定による印西市の固有名称や熟語の定着(3年生以上)