国語科の「漢字の広場4 へんとつくり」という単元で,デジタルトランスフォーメーション授業を展開しました。
デジタルトランスフォーメーション教育は,特定の教科について実現していくものではなく,時代に合わせて様々な教科において実現するべきものであると考えています。であるからこそ,各教科領域等の壁を超えて授業技術や授業思想の交流や共有化は必須事項だと判断し,今回のような授業を設計しました。国語科での教授法を他教科でも使うことを想定し,他教科への橋渡しになればよいと考え,多様なアプリを使った子どもたちの学習活動を展開することにしました。
(1)ICTの活用場面
今回の授業研究で使うICTの活用場面は,ほぼ全場面でした。機器以外で使用するのは,「ロイロノート・スクール」,「Canva」,「モジナビ漢字手書き検索」(特化型AI),「Kahoot!」の4種類です。
(2)「ロイロノート・スクール」
「ロイロノート・スクール」を全学習活動の「本拠地」として設定しました。その中で,「ロイロノート・スクール」の本来の使い方とは異なった「漢字神経衰弱ゲーム」組み込んだDX授業(【再設計】型)をしました。また,授業後のアンケートテキストに授業で学んだことを話す録画を貼って提出させる複合的な授業のまとめ(【再設計】型)をもしました。「ロイロカーゴ」という 授業者発案の配付システムを導入し,素材やアンケートの多さに対応できるようにもしました。(【再設計】型)
(3)「Canva」
本時展開3・4の意見交換する場面では,「Canva」を使用しました。この場面で「ロイロノート・スクール」にしなかった理由は,児童のタイピング力の高さを生かし,効率的に意見交換を進めるには「Canva」がふさわしいと考えたからです。「Canva」のスライドにおける全体の視認性の良さは「ロイロノート・スクール」の提出箱のそれより上回っていると私は考えています。また,直接書き込める「Canva」スライドは「ロイロノート・スクール」生徒間通信機能を使って集約するより時間が短縮できるとも思います。「Canva」では,スライドを「学習問題作成ページ」,「発表ページ」,「グループページ」に分けて作成し,それぞれ用途に応じて使わせていくDX授業(【創造】型)をしました。その他にも,「Canva」でとりまとめた学習問題や見つけた漢字を「ロイロノート・スクール」のテキストにまとめさせ,資料箱にデータを保存するDX授業(【再設計】型)を設計しました。
(4)AI(人工知能)
本時展開5の場面では,AI(人工知能)を取り入れました。「モジナビ漢字手書き検索」というサイトで,クロームブックの手書き機能に似た漢字を調べるための特化型AIです。生成AIとは違い学習者の意思で機能するものです。今回はこのAIと「ロイロノート・スクール」と連携させてDX授業(【再設計】型)としました。
(5)「Kahoot!」
本時展開7の場面では「Kahoot!」もDX授業(【再設計】型)として使用しました。本来,「Kahoot!」は問題を出して授業の展開の中心部で楽しむ学習のために使われることが多いです。しかし,それを授業展開終末の学習事項確認のために,用途を再設計して使用することにしました。
仮説1については,本時展開3・4・5・7において検証していきます。仮説2「 画像や音声の処理,タイピングの技能を向上させ,学習に主体的に取り組むような表現活動・全員参加型の学習をすればよいだろう。」については,本時展開1・3・4・5・7・8で検証していきます。
(6)DX教育へのつながり
今回の授業で将来のDX教育へのつながると考える主な項目は,次のとおりです。
①全体の考えの集約を「Canva」のスライドというプラットホーム上で見えやすい形で行うようにしたこと。
②「Canva」のスライドという同じプラットホーム上で,グループ学習と全体学習を両立させようとしたこと。
③タイピング技能の高い児童に学習問題等の記述や送付を任せ,授業者は全体を把握したり,指示をしたりすることに集中しようとしたこと。
④グループの発表を聞こえにくい肉声発表から,動画発表にし,その動画をグループページから全体のページへコピー貼り付けすることで,グループの考えの集約をはかろうとしたこと。⑤今後必ず入ってくるであろう「生成AI」を使った学習につなげるために「特化型AI」を使うようにしたこと。
⑥「Kahoot!」のようなどの授業者もすぐ作れるゲーム性のあるアプリケーションを使って,適用題を解くような学習を設定し,児童の身に付けた学力の把握と児童の楽しさを両立させようとしたこと。
⑦「ロイロノート・スクール」のような「授業支援アプリ」において,必要な資料,リンク等を「ロイロカーゴ」としてまとめて送るようにしたこと。
以上,45分で扱うには多すぎるほどの「工夫」や「挑戦」を入れて授業を設計しました。
子どもたちは,様々なアプリを瞬時に渡り歩き,スムーズに学習活動を進めることができました。
話し合いをまとめる過程でやや時間がかかってしまいましたが,概ね授業は全て終了しました。
別のアプリを使えば,さらによかったかもしれないというところはありました。しかし,デジタルトランスフォーメーション授業における様々な工夫の紹介と,小学校3年生でもここまでできるということを示せたので,今回はよしとしたいと思います。
写真,資料等は別の記事に掲載します。